生活情報紙「さりお」の記事

「漢方よもやま話」より

生薬の目利き
 私たちがスーパーなどで野菜や果物を買うときに、味見をすることはできません。ですから、見た目から得られる新鮮さなどの情報や、それまでの経験から得た感覚をもっておいしいであろうものを選びます。
 このように、私たちが日常している目利きは、漢方業界でも必要です。
 品質が良い生薬(しょうやく)は、やはり身が詰まっており、「きれいだな」という印象です。
 食品の目利きは「おいしさ」につながりますが、生薬の目利きは「効果」につながります。
 生薬は漢方薬の原料であり、一つの漢方薬には数種類の生薬が含まれます。全く同じ薬を、品質がよい生薬と、そうでない生薬とで作ったもので比較すると、効果の出方が異なります。
 漢方薬の本来の効果を得ようと思えば、生薬の品質が大切なのです。
 昭和の時代のことですが、ある先生がよく効果を上げていた煎じ薬がありました。
 しかし、ある時期から以前のような効果を実感できなくなってしまったので、生薬の品質を確かめたところ、数種類の生薬の中のたった1種類の品質が良くありませんでした。すぐにその生薬の品質を戻すよう指示したところ、また同じ薬で効果を得られることが多くなったそうです。
 現在はエキス製剤が多く流通しているため、原料である生薬と触れあう機会が減っています。
 生薬の目利きができる人が少なくなってしまっている現状を残念に思います。