生活情報紙「さりお」の記事

「漢方よもやま話」より

生薬としても使われるタンポポ
 「一月往ぬる二月逃げる三月去る」というように、今年もあっという間に3月の中旬です。気候も春らしくなり、花を見たり触れたりする機会も多くなるでしょう。
 さまざまな種類の花がある中でも、道端によく咲いているタンポポは春の花の代表的なものでしょう。タンポポが咲き始めると春の訪れをより一層感じたものです。
 昔から春に咲いていたのは、カントウタンポポやカンサイタンポポなどの在来種です。
 現在は年中咲く外来種であるセイヨウタンポポが在来種よりも繁殖力が強く、広く分布しているようです。春以外に開花しているタンポポはセイヨウタンポポでしょう。
 タンポポはキク科の多年草です。乾燥させた根を焙(ばい)煎したノンカフェインのタンポポコーヒーは、妊娠時でも安心して飲めるコーヒーの代用品として広く知られています。
 そんなタンポポは、漢方の原料である生薬(しょうやく)としても用いられます。生薬としては蒲公英(ほこうえい)と呼ばれ、当帰(とうき)や香附子(こうぶし)などの生薬と組み合わせた蒲公英湯(ほこうえいとう)という漢方薬は催乳の作用を目的に用いられてきました。  単独でも催乳の作用があるとされ、民間療法でよく使われてきました。
 実は在来種のタンポポの中の数種類は、絶滅危惧種に指定されているものも。昔から身近にあった自然が、いつの間にか消えてしまうのは悲しいものです。