生活情報紙「さりお」の記事

「漢方よもやま話」より

お屠蘇の習慣の由来
 今年は新型コロナウイルスによって、疫病の恐ろしさが身近になった1年でした。昔から疫病は天災と共に非常に恐れられていたものです。
 日本では昔から元旦に「お屠蘇(とそ)」を飲んで、新しい1年を健康に過ごせるように願う習慣があります。「一人これを飲めば一家に病なく、一家これを飲めばその里に病なし」といわれ、元旦に年少者から年長者の順にお屠蘇を飲んで新年の健康を願うのです。
 屠蘇は中国後漢末期の医師・華佗(かだ)が屠蘇酒を考案したことが始まりとされており、「邪を屠(ほふ)り、身体を蘇らせる」という意味が名前の由来だそうです。
 日本には平安時代、嵯峨天皇(さがてんのう)の頃に宮中の正月行事として伝わります。
 江戸時代には屠蘇散として一般に広まりましたが、効果が強いため、飲み過ぎて悪い影響が出る人がいたといいます。
 その後、織田信長などの有名な武将も診察していた戦国時代の医師・曲直瀬道三(まなせどうさん)により、安全で飲みやすく改良されたものが広まり、処方集「衆方規矩(しゅうほうきく)」に収載されています。
 現在では地域によって生薬の組み合わせが微妙に異なり、さまざまな屠蘇散が作られています。
 屠蘇散はドラッグストアなどで入手できます。これを大晦日の夜から日本酒かみりんにつけておくだけ。手軽にできる縁起のいい行事として楽しんでみてはいかがでしょうか。