生活情報紙「さりお」の記事

「漢方よもやま話」より

理屈でなく効果の得られる漢方薬
 秋の七草の一つである葛(くず)は、マメ科のつる性大木です。初秋には紫色の豆状の花を多数つけ、鑑賞して楽しむ秋の七草にふさわしい美しさを感じさせます。
 葛は、根に多く含まれる葛でんぷんが葛湯や葛餅の原料として用いられており親しみ深い存在ですが、漢方薬の原料としても使われています。
 葛の根は、生薬(しょうやく=漢方薬の原料)としては葛根(かっこん)と呼ばれ、葛根を含む漢方薬は葛根湯(かっこんとう)が有名です。
 葛根湯には、葛根、麻黄(まおう)、大棗(たいそう)、桂枝(けいし)、芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)の7種類の生薬が含まれています。
 比較的体力があり、首筋や背中にこわばりがあり、発熱しているけれど汗をかかず、悪寒がする人に適することが多い薬です。
 漢方は、科学がない時代に経験によって築かれた医学です。
 以前には葛根の主成分はでんぷんですから「葛根はジャガイモのデンプンでも代用できるのではないか」という暴論を吐く人もいたようです。
 しかし、研究が進み、葛根の中から筋肉の緊張を緩和する作用のある成分を含む、いくつもの微量成分が検出されたのです。
 先人たちが工夫を重ねた数種類の生薬の組み合わせには意味があり、理屈ではなく、実際に効果が得られる薬が現在でも残っているのです。