生活情報紙「さりお」の記事

「ここが知りたい漢方」より

梅雨時季にも気を付けたい膀胱炎
膀胱炎を繰り返す場合や、抗生物質で治りにくくなった場合は、漢方薬を試してみては
 今は、今年は例年よりもかなり早い梅雨入りで、戸惑っている人は多いでしょう。まだまだ寒暖差が大きく、雨の後に気温が下がると一段と冷え込 みがこたえるものです。
 このような気候で体が冷えることによって、悪い影響を受けやすい病気の一つに膀胱(ぼうこう)炎があります。
 膀胱炎は細菌が尿道に侵入し、繁殖して頻尿や排尿痛を起こす病気です。ひどくなると尿に血が混じることもあります。
 男性より女性に多いのは、女性は尿道が短いため細菌が侵入しやすいからといわれています。
 細菌感染が腎盂(じんう)にまで広がると、腎盂腎炎を引き起こす場合があるため注意が必要です。
 膀胱炎の原因となる細菌の一つに、大腸菌があります。普段から私たちの身近に存在する菌ですが、健康状態が良ければあまり問題になることはありません。
 しかし、疲れやストレスがたまっていると免疫力が低下して感染しやすくなってしまいます。
 最近では、コロナ禍による精神的な負担などによって、抵抗力が弱っている人が少なくないでしょう。膀胱炎や帯状疱疹(ほうしん)、口唇(こうしん)ヘルペスなど、弱っている時に症状が出やすい病気も増えているようです。普段、このような病気と縁がない人も注意しましょう。
 さて、西洋医学では膀胱炎に対して抗生物質で治療します。水分を多めに補給し、刺激物を控えて安静にし、症状が治まるまで下腹部を冷やさないことも大切です。
 これで多くの場合は治ってしまいますが、中には膀胱炎を繰り返し、抗生物質を長期間服用したことによって、抗生剤が効きにくくなってしまう人もいます。
 膀胱炎を何度も繰り返す場合や、西洋医学の治療を続けても治りにくい場合などは、一度漢方薬を試してみてもよいかもしれません。
 膀胱炎によく使われる漢方薬に猪苓湯(ちょれいとう)があります。
 中国の後漢時代の医学書である「金匱要略(きんきようりゃく)」の淋病の項目にも記載されています。淋病とは現代の性病のことではなく、排尿痛や残尿感などがある状態のことをいいます。
 「発熱し、咽が渇いて水を欲し、尿が出にくいような場合には猪苓湯がよい」と書かれており、まさに膀胱炎や腎盂腎炎のような症状に昔から用いられてきたのです。
 猪苓湯のほかにも、膀胱炎に使われる漢方処方はたくさんあります。体質や症状に適するものを、専門家に相談して見つけておくとよいでしょう。