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不眠と漢方
 夜寝付けなかったり、夜中に目が覚めるなど、安眠できないことは誰でも経験することです。しかし、頻繁に続くようになると不眠症ということになります。
 そして現在の日本では、睡眠に関して何らかのトラブルで悩んでいる人が、10人に1人から2人はいるといわれています。
 よく眠れない夜が慢性的に続く不眠症には、「不適切な生活習慣」「精神的なストレス」「薬や嗜好品」「体の病気」「心の病気」「環境の影響」によるものなどがありますが、本人には原因らしきものが思い当たらないケースが少なくありません。
 なお、不眠症にはさまざまなタイプがあります。
 「布団に入って寝ようとしてもなかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚めて困る」「朝早く起きてしまう」「十分な時間寝ているはずなのに熟睡感がない」などですが、もっとも多いのは、眠ろうと思ってもなかなか寝つけないタイプです。高齢者に多いのは、夜中に目が覚めたり、朝早く起きてしまうタイプです。 寿元堂薬局に相談に来られる人のほとんどは、ストレスや精神的な不安を伴うものですが、なかには枕やフトンを少し工夫するアドバイスをしただけで不眠が改善したこともあるので、気がつかないまま「環境の影響」を被っている人が意外に多いのかもしれません。
 いずれにしても、不眠症が漢方や適切なアドバイスで改善する可能性は十分にあります。
西洋医学では
 西洋医学では、睡眠導入剤(睡眠薬)や精神安定剤などが使われます。様々な特徴のある薬が開発され、緊張や不安を取り除いて、よく眠れるようにする作用があります。
 その人の状態によく合う薬を飲めば、その時にはよく眠れるのですから重宝します。効果の確実性を考えれば、一時しのぎとしてはすばらしい薬だと思います。
 なお、睡眠薬は「体に悪い」「依存性がある」などという悪いイメージを持っている人が少なくありませんが、最近の睡眠薬は、以前にくらべると安全性が高くなっています。
 しかし、常用しているうちに効き目が弱くなったり、急に止めるとリバウンドでかえって眠れなくなったりすることがいまだに起こることがあります。また、翌日になっても眠気が続いたり、ふらついたり、物忘れしたりすることがあります。
 專門のお医者さんとよく相談するとよいでしょう。
漢方では
 睡眠漢方では、眠れないことを〝不眠〟とも〝不寐(ふび)〟ともいいます。
 さて、「漢方の睡眠薬が欲しい」と望む人がおられます。しかし、漢方薬には西洋医学の睡眠薬に匹敵する作用を持つ薬はありません。
 ほかの病気と同様に、それぞれの人の全身の状態を観察して、それに応じた適切な薬を用いることによって、症状が改善し、自然に眠れるようになるからです。
 いっときの睡眠を誘う睡眠薬には、飲んだときに眠れるという優れた効果があります。しかし、いつまでたっても不眠症は治りません。
 不眠症を治す漢方薬の効果は、不眠症の一時しのぎを続けるのではなく、偏った睡眠を改善して自然に眠れるようになり、睡眠薬を飲む必要をなくします。
 ところが、漢方薬を飲んで、睡眠薬と同じような効き方をすることもしばしばあります。睡眠薬と同じように、漢方薬を飲んで寝るとよく眠れることがあるのです。しかし、それは結果であって、最初から期待する漢方薬の効果ではありません。
 このような考えで、西洋医学の睡眠薬と漢方薬を上手に併用すると、最終的には漢方薬を含めて、薬を飲まなくとも快眠が得られるようになっていきます。不眠症からの快復が早くなるのです。
 なお漢方薬は適切に使用する限り、副作用や習慣性の心配はありません。
不眠は心の問題
香月牛山
香月牛山先生
(1656~1740)
本間棗軒
本間棗軒先生
(1804~1872)
 夏の暑さや旅行の時差で眠れないなど一時の不眠や、リウマチの痛みや皮膚炎の痒みなど体の病気の影響で眠れない場合などは別として、継続する不眠の症状(不眠症)には、やはり精神の状態が強く影響します。
 ですから、ストレスや何らかの不安をかかえているとき、うつ病や神経症などになったときなどには不眠をともなうことが多いのです。
 江戸時代中期の名医、香月牛山(かつきぎゅうざん)先生は、その著「牛山活套(ぎゅうざんかっとう)」で「不眠の多くは動悸、不安、むなさわぎなどを伴うことが多い。…心の気が不足するからだ。…」(意訳)と述べています。
 また、江戸時代後期に漢方と蘭方(オランダ医学)をともに修めた名医、本間棗軒先生の著書「内科秘録」には、「不眠は心の病にして、細かいことが気になる症状のひとつである。仕事、病気、対人関係などで憂わなくてもよいことを憂い、恐れるに足らないことを恐れ、常に思慮を繰り返して止まない。そうすると精神がだんだんに耗散して眠れなくなる。眠れないとますます思慮することを続けて、ますます精神の状態が悪くなる。」(意訳)とあります。
漢方は不眠を治します
熟睡 「漢方の睡眠薬が欲しい」と望む人がおられます。しかし、漢方薬には西洋医学の睡眠薬に匹敵する作用を持つ薬はありません。
 ほかの病気への対応と同様に、それぞれの人の全身の状態を観察して、それに応じた適切な薬を用いることによって、症状が改善し、自然に眠れるようになるからです。
 いっときの睡眠を誘う睡眠薬には、飲んだときに眠れるという優れた効果があります。しかし、いつまでたっても不眠症は治りません。 不眠症を治す漢方薬の効果は、不眠症の一時しのぎを続けるのではなく、偏った睡眠を改善して自然に眠れるようになり、睡眠薬を飲む必要をなくします。
 ところが、漢方薬を飲んで、睡眠薬と同じような効き方をすることもしばしばあります。睡眠薬と同じように、漢方薬を飲んで寝るとよく眠れることがあるのです。しかし、それは結果であって、最初から期待する漢方薬の効果ではありません。
 このような考えで、西洋医学の睡眠薬と漢方薬を上手に併用すると、最終的には漢方薬を含めて、薬を飲まなくとも快眠が得られるようになっていきます。不眠症からの快復が早くなるのです。
 なお漢方薬は適切に使用する限り、副作用や習慣性の心配はありません。
不眠に使われる漢方薬
 不眠の改善に用いられる漢方薬も数多くあります。ちなみに、寿元堂薬局でまとめている古典の資料をざっとながめただけでも、不眠症の改善に使える漢方薬が80種類以上あります。
 漢方の常として、多くの漢方薬の処方内容を考慮して薬を選ぶことが大切です。
 それらの漢方薬のなかには、肝っ玉を温める「温胆湯(うんたんとう)」、高まくらで憂いが無くなるという「高枕無憂散(こうちんむゆうさん)」、心を補う「補心湯(ほしんとう)」、心を養う「養心湯(ようしんとう)」などというわかりやすい名前の漢方薬もあります。
 ここでは現在、不眠の改善を目的として使われている漢方薬のなかでも有名な「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」を紹介してみましょう。
酸棗仁湯(さんそうにんとう)
酸棗仁湯の条項
(「金匱要略」)
 漢方の長い歴史の中で、酸棗仁湯という名前の漢方薬はいくつも工夫されてきました。
 現在使われている酸棗仁湯は、中国・後漢の時代に著された「金匱要略(きんきようりゃく)」という書に載っているもので、酸棗仁(さんそうにん)、甘草(かんぞう)、知母(ちも)、茯苓(ぶくりょう)、川芎(せんきゅう)という5種類の薬草の組み合わせです。
酸棗仁湯の1日量
酸棗仁15.0㌘ 甘草2.0㌘ 知母3.0㌘ 茯苓6.0㌘ 川芎2.0㌘
 主薬の酸棗仁はサネブトナツメの種子で、神経を強壮にして鎮静する作用があります。知母には鎮静、強壮の効果があり、川芎は氣鬱を開いて気分を明るくし、茯苓は強壮、利尿、鎮静の効果があり、甘草は諸薬の効果を調和します。
 少し難しいですが、原典の金匱要略には「虚労(きょろう)、虚煩(きょはん)、不得眠(眠るを得ざれば)、酸棗仁湯主之(酸棗仁湯これをつかさどる)」という記載があります。
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